創業120年以上の歴史を持ち、社会インフラから自動車、エレクトロニクス分野まで幅広い製品をグローバルに展開する住友電工。同社は、長期経営ビジョン「住友電工グループ2030ビジョン」のもと、国内外の従業員が等しく学ぶ機会を得られる環境を実現するために「Cornerstone Learn」を導入しました。事業精神や経営ビジョンの定着を促す自社内製コンテンツに加え、「Cornerstone Content Subscriptions」を活用した学習環境を整備。従業員アンケートでは、「使いやすい」95%、「役に立つ」90%と高評価を獲得するなど、社内教育機会の格差解消と従業員の自律的な学びを着実に後押ししています。
グローバル教育基盤の構築に向け、内製システムの見直しを決断
住友電工は、環境エネルギー、情報通信、自動車、エレクトロニクス、産業素材の5つの事業分野で製品・サービスを展開するグローバル企業です。1897年の創業以来、イノベーションへの挑戦を続け、現在は世界約40カ国で約29万人の従業員を擁する一大グローバル企業グループへと成長しました。
同社は人的資本を重要な経営基盤と位置づけており、2022年に発表した長期ビジョン「住友電工グループ2030ビジョン」では人的資本へのさらなる投資を宣言。これにともない、住友電工グループの研修体系の総称である「SEI ユニバーシティ」をさらに強化し、グローバル全体で均一な教育・研修の提供を行うことを決断しました。
しかし、その実行の中核を担う教育システムに課題がありました。日本エリアで利用していた内製の教育システムを多言語化し、グローバルに展開することを試みましたが、巨大な企業グループゆえに言語数が最低9言語(コンプライアンス研修においては20言語以上)に渡ること、動画配信に活用を始めた外部サービスのテナント契約が複数存在し、視聴時にテナント切り替えの複雑な操作が必要になるなど、運用面・技術面で多くの問題が発生しました。付随する問い合わせ対応工数の増大も無視できない負担となっており、内製システムを使用する方針の見直しを余儀なくされました。常務執行役員 人材開発部長の國井美和氏は当時をこう振り返ります。「2025年からの中期経営計画では、教育・研修のグローバル展開に加え、グローバル全体で『一人当たり学習時間20時間/年』の達成をKPIとして掲げていました。しかし、既存の内製システムを利用する方法では目標達成が難しいという危機感があり、方針を大きく変える必要があると判断しました」(國井氏)
導入前の入念なPoC で経営層・IT部門の合意を形成
教育・研修のグローバル展開に向け、外部学習体験プラットフォームを活用する方針に転換をした同社は、製品・サービスの選定にあたって以下の4点を必須要件に定めました。
- グローバル全体に安定してコンテンツ配信ができること
- 住友電工と同規模の企業グループでの導入実績があること
- 早期導入(6か月程度)が可能であること
- 高品質かつコストを抑えて導入できること
これらの条件をもとに最終候補3 製品の比較選定を行った結果、同社はコーナーストーンの採用を決めました。コーナーストーンが提供する教育コンテンツ「Cornerstone Content Subscriptions」の充実や、自律学習を支援するLXP 機能の豊富さに加えて、コスト面での優位性が評価されました。
「コーナーストーンのライセンス費用は比較検討したサービスの中で費用対効果に優れていました。弊社では一定金額を超える投資はシステム投資検討会での承認が必要となりますが、コストの妥当性と導入効果が評価され、迅速に承認を受けて導入を進めることができました」(國井氏)
内製システムの活用が一度頓挫している経緯もあり、コーナーストーンの導入は決して失敗できないプロジェクトでした。そこで、プロジェクトを主導した人材開発部 主席 横川トキエ氏は、正式導入前にPoC(概念実証)の実施を決定しました。PoC では内製システムとコーナーストーンのFit & Gap を重点的に行い、機能面・運用面での問題がないかを検証しました。具体的には、本番・パイロット・検証の3 環境を用意し、世界各国の言語対応として言語パッケージを適用した上で、可用性・性能/ 拡張性・運用/ 保守・セキュリティなどの非機能要件も含めてチェックを行いました。この取り組みについて、横川氏は「非常に有意義だった」と振り返ります。「住友電工は伝統的にシステムを内製で構築する文化があり、グローバルレベルで大規模にSaaSを導入した前例がありませんでした。PoCを実施したことで、人材開発部だけでなく、経営層や情報システム部門の理解を得ることができ、納得感をもって投資を決定することができました」(横川氏)
「前倒し&段階導入」でグローバル展開をスムーズに実現
コーナーストーンの導入プロジェクトは、2024年5月に始まり、同年10月には第一段階として40社を対象にローンチしました。本来、教育・研修のグローバル展開は2025年度から開始の予定でしたが、立ち上げ時の混乱を避けるため2024年度から前倒しでスタートをすることにしました。5か月という短期間でのローンチを実現するため、導入作業ではさまざまな工夫が施されました。
まずは対象エリアです。グローバル全体で一斉に導入を進めると日本のプロジェクトチームが24時間打ち合わせへの対応が必要となってしまうため、最初はアメリカとAPACに限定し、その中でも教育・研修への意欲が高い40社を厳選し、導入作業を進めました。対象会社との連携は、エリアを統括する人事駐在員をハブとすることで、円滑なコミュニケーションが行える体制を整えました。また利用する機能については、eラーニングを配信する機能に限定し、運用の標準化作業やマニュアル作成を簡略化しました。提供コンテンツについては、日本語ですでに制作済みのものを翻訳会社やAI翻訳を活用して翻訳し、「ReadSpeaker」などのAI音声を活用することで多言語化を実施。その後、現地スタッフが表現の自然さや読みやすさを確認するプロセスを経て品質を担保しました。
横川氏は、導入プロセスにおけるコーナーストーンの情報提供が非常に参考になったと評価します。「コーナーストーン社からは他のグローバル企業の運用事例を数多く教えていただきました。特に、教育をグローバル展開している他企業の体制やどのぐらいの人員リソースを割いているかは、協力人員を確保するうえで社内説得の重要な材料になりました」(横川氏)
世界20 カ国・約1 万人に広がる学習基盤95% が使いやすいと評価
その後、コーナーストーンの利用拠点は大きく広がり、2026年1月現在、住友電工グループの世界20 カ国・100 社・約1万人の従業員がコーナーストーンを利用しています。提供している教育コンテンツは大きく2 つのカテゴリに分かれています。
1つめは、住友電工の事業精神や経営理念など、グループ企業の全社員が必ず学ぶべき基礎的コンテンツです。これらは日本の人材開発部及び研修主催部門が内製し、多言語に翻訳したうえでグローバルに提供しています。2つめは、一般的なビジネススキルに関するコンテンツで、こちらには内製コンテンツに加えてCornerstone Content Subscriptions を活用しています。
基礎的コンテンツに関しては、各社に受講したいコンテンツを2本選択してもらう運用としました。教育の嗜好・関心・コンテンツの既受講状況は国・会社・設立年度によっても大きく異なることから、一律に指定するのではなく、各社の自主性に委ねたほうが浸透がスムーズだと判断したためです。学習状況はエリアを統括する人事駐在員が中心となって確認を行い、進捗に応じて追加コンテンツの受講を促すなどの取り組みを行っています。
一般的なビジネススキルを提供するCornerstone Content Subscriptionsは、初年度は評価のためすべてのユーザーに全コンテンツの視聴権限を付与しています。提供コンテンツに対しては「興味のある内容が多言語で数多く揃っている」と従業員から好意的な声が寄せられています。受講者の71%がAIによる提案を活用しながら自律的にコンテンツを視聴しており、エリア統括担当がおすすめコンテンツをプレイリスト化してユーザーに共有するなど、学びが業務の中に組み込まれ始めています(2 年目以降の利用は各社による判断)。
利用開始後、受講者から操作方法に関する問い合わせはほとんど発生しておらず、アンケート調査でも「使いやすい:95%」「役に立つ:90%」と高い評価を受けました。高評価の理由としては、モバイルでの受講のしやすさ、AIによる推奨機能、コンテンツの品質と幅広さなどが挙げられます。各国のグループ企業からはコンテンツ内容に関する意見やアジア言語でもっと提供して欲しいなどの要望が寄せられるようになり、日本本社の各事業部からも教育コンテンツの配信や多言語コンテンツ作成のノウハウについての問い合わせが増えるなど、新たな教育プラットフォームが着実に浸透しつつあります。
教育機会格差ゼロに向け、利用者5 万人超の教育基盤を目指す
国内と海外の研修機会の格差を埋めたい──そんな強い思いから始まった教育・研修のグローバルプラットフォーム構築プロジェクトは、コーナーストーンというソリューションを得て、中期経営計画で掲げたスケジュールどおりに提供を開始しました。
コーナーストーンについて、國井氏は次のように評価しています。「最大の導入効果は、教育・研修のグローバルプラットフォームを構築できたこと、これに尽きます。今後は各社の利用をさらに促進しながら、私たちが理想とする人材開発を実現していきたいと考えています」(國井氏)
現在の利用ユーザーは約1万人ですが、今後はグループ中核企業を中心とした280社・約5万人に向けて展開する計画です。また、将来的には既存の教育コンテンツに加えてコンプライアンス研修の提供や、バッジ・修了証の活用、学習コミュニティの運営、PCを普段利用しない現場ワーカー向けの集合研修との組み合わせなど、学習体験のさらなる拡張も検討しています。
グローバルで安定して活用できる教育プラットフォームを手に入れたことで、同社は長年の課題であった教育・研修機会の格差是正に大きく前進しました。同社は今後もコーナーストーンを軸にグローバル人材育成を力強く推進していく考えです。

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